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UPDATE: 2021-02-06 10:39:39
新型コロナウイルスのリスクファクター
新型コロナウイルスはACE2受容体に結合してプロテアーゼという酵素が作用して細胞内に侵入して感染しますので、ACE2受容体の活性が感染に非常に関係するということになります。

子供はACE2受容体が少ないため、そもそも感染するリスクは低く、男性よりも女性の方が少ない傾向にあります。

意外な事に呼吸器疾患の中で喘息の患者さんはACE受容体の活性が低く、皮肉なことに重症でコンロトール不良な人ほど、よりACE受容体の活性が低くなり感染しにくい傾向にあります。

感染しにくいですが感染しないわけではないため、感染すると重症化のリスクが高いですので安心せずに予防に努める必要はあります。

喫煙者はACE受容体の活性が高いため感染リスクが高くなります。

喫煙によって慢性的に気管支に炎症が起こり、酸素と二酸化炭素の交換を行う肺胞という部分が壊されて酸素化が不良になり、弾性線維という肺が伸縮するためのゴムのような組織が伸びて肺が縮みにくくなって、しっかりと痰が出せない状態になりますので重症化リスクも非常に高まります。

志村けんさんもヘビースモーカーだったために亡くなったとも言え、タバコは百害あって一利ないものですので、喫煙者の方には即刻、止める事をお勧めします。

ACE2受容体は、肺、腎臓、心臓、膵臓、腸管などに分布しており、脂肪細胞にも分布してて、肥満者は普通体重者に比べて脂肪細胞が多いので感染リスクが高いということになります。

内臓脂肪が過剰に蓄積した肥満者では、内臓脂肪組織内に慢性炎症が生じていて、放出される炎症性サイトカインが血管病変を引き起こし、メタボリックシンドロームを発症させると考えられていて、こうした慢性炎症状態でウイルスに感染すると、ウイルス感染を契機に内臓脂肪の炎症が急激に悪化し、大量のサイトカインが放出されてサイトカインストームを起こし、より重症化しやすいのではないかと推測されています。

アメリカで感染者や死亡者が多いのは肥満者が多いことも関連していると思います。

ダイヤモンド・プリンセス号で最もウイルスが検出されたのはトイレに床で、ACE2受容体は腸管にも多く存在しているので糞便中にも排出されていて、消化液の作用でほとんどが不活化されているようですが、活性のあるウイルスが全く居ないとは限りませんので、トイレは必ず蓋をして流すことも重要になります。

欧米は土足文化ですが、公衆トイレは非常に汚くてトイレに蓋が無いところも多いですが、汚い場所を歩いた靴のままで自宅内に入るため細菌やウイルスを自宅内に持ち込み、平気で靴のままソファーに足を上げたり、ボールをついて抱えたりするので、接触感染のリスクが非常に高まって土足分化の欧米では感染者が多く、日本など履き替える文化の国では感染が抑えられる傾向にあると私は推測しています。

膵炎治療に使われるナファモスタット、カモスタットが新型コロナウイルスの感染に関与するTMPRSS2というプロテアーゼを抑制するため東京大学などで研究が行われていますが、これらはあくまで感染を成立させないための薬剤であってウイルスの増殖を抑える薬剤ではありませんので、予防薬になるかもしれませんが残念ながら治療薬にはなり得ないと考えられます。

もしかすると膵炎の治療でナファモスタット、カモスタットを使用している人は感染しにくい傾向にあるかもしれませんが、どんな薬剤でも副作用が出る可能性が考えられますので、50歳代以下の基礎疾患の無い方はほぼ風邪と同じように治るような病気に対し予防的に薬剤を使う事は望ましくないと思われます。
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